外壁リフォームの「カバー工法」とは?メリットとデメリットは?
住宅の外壁リフォームは、大きく「塗装」「カバー工法」「張り替え」の3つの方法があります。
これらはいずれも有効ですが、外壁の劣化状況によってどの方法を採用するのか検討する必要があります。
なかでも「カバー工法」は、コストを抑えながら新築同様の仕上がりが期待できるなどメリットが多い方法ですが、一方でデメリットもある点は注意が必要です。
そこで今回は、「カバー工法」とは具体的にどのようなリフォームなのか、またメリットとデメリットについてもご紹介したいと思います。
<そもそも外壁カバー工法とは?>
外壁カバー工法とは、既存の外壁を残し、その上から新たな外壁材を張る方法です。
外壁カバー工法に採用する外壁材は、建物の耐震性の観点から軽量である必要があるため、金属サイディングを使うことが一般的なケースとなります。
なお金属サイディングは、ガルバリウム鋼板やアルミなどの金属板を成型した外壁材で、その多くは断熱材を裏打ちし軽量化していることが特徴です。
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外壁カバー工法の施工手順
外壁カバー工法の施工は、非常に簡単な手順で進められることも特徴のひとつです。
外壁カバー工法の一般的な施工手順について、簡単にご紹介いたします。
①足場の設置
外壁リフォームは、いずれの方法も足場の設置が必須となります。
②胴縁の取り付け
既存の外壁の上に胴縁を取り付けます。
取り付けた胴縁に対し仕上げとなる外壁材を張りますが、このことはつまり新たな通気層を設けられるということです。
そうすることで、新規外壁の裏側に水分が入り込んでも通気層から排出できるうえ、さらには防音効果や断熱効果など新たな機能を付加できます。
③役物の取り付け
サッシ周辺や軒下などに専用の役物を取り付けます。
④金属サイディング張り
胴縁に金属サイディングを張り付けます。
このときには、経年とともに不陸が生じている外壁に対し、調整材などを使って調整を行うことが重要です。
また金属サイディングのジョイントや出隅などには、専用の役物を使用して納めます。
部分的にシーリングを充填する必要がありますが、メーカーによってはシーリングレスを可能としているものも登場しています。
⑤足場の撤去
足場を撤去し、清掃、片づけを行って終了です。
<外壁カバー工法のメリット・デメリット>
外壁カバー工法によるリフォームは、多くのメリットがある一方でデメリットもあります。
そのどちらも理解したうえで、検討するとよいでしょう。
外壁カバー工法のメリット・デメリットとは以下の通りです。
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外壁カバー工法のメリット
・性能の向上を図れる
外壁カバー工法は、新たな通気層を設けられるため断熱性や防音性の向上が図れます。
外観を一新できるだけでなく、同時に性能を高められるのは大きなメリットです。
・工期が短い
既存の外壁を解体せずその上から施工するため、短い工期で完成させることが可能です。
金属サイディングは非常に軽量であることから、作業性もよく持ち運びもスムーズに行えます。
・張り替えるよりコストが安い
既存の外壁を撤去し処分する必要のある張り替えリフォームは、最もコストがかかる方法です。
しかし外壁カバー工法は、張り替えよりも短工期で人件費を削減できるうえ、廃材処分費もかかりません。
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外壁カバー工法のデメリット
・バリエーションが限定される
外壁カバー工法は、金属サイディングなど軽量なものに限られるため多くのバリエーションのなかから選ぶというわけにはいきません。
そのため、場合によってはお気に入りのデザインが見つからないという可能性もあるでしょう。
・劣化状況によっては施工できない
既存の外壁が著しく劣化している場合は、外壁カバー工法では対応できないケースもあります。
その場合は、当然ながら外壁塗装でも難しいため、張り替えを行う必要があります。
しかし張り替えリフォームは、下地のコンディションをしっかりチェックできることから、根本的な改善を図るには最も適した方法といえるでしょう。
<まとめ>
外壁カバー工法は、外壁リフォームのなかでもコストと性能のバランスが優れた方法といえます。
また金属サイディングの耐久性は、最も普及している窯業サイディングより高いため、リフォーム後のメンテナンスコストはかなり抑えられる可能性があります。
外壁塗装によるメンテナンスも効果的ですが、外観を一新し、またメンテナンス周期をより長く設定したい場合にはおすすめの方法です。